超歌舞伎(ニコニコ超会議2016)『今昔饗宴千本桜』で号泣した歌舞伎ヲタの感想
超歌舞伎、4/30(土)15時、千穐楽の回リアルタイムで視聴~!!
芝居観ても滅多に泣かない私、まさかの号泣。
感想分析その他思いつくまま。
※長いのでGWの暇つぶしにお読みください※
基本的なところはこちらの公式HPで。この特設ページ自体かなり丁寧に作られている親切設計。
歌舞伎美人の初演レポはこちら↓
獅童×初音ミク『今昔饗宴千本桜』初演の盛況 | 歌舞伎美人(かぶきびと)
まず初めにお断りしておくのは、これから書くのは、依然として続いているSMAP騒動を「ふんばる」を合言葉に耐え忍び*1、るろ剣で宝塚の沼に落ちかけ*2、ここ最近の観劇感想をアップどころか記録するのすら面倒くさくなっている、一歌舞伎ファンの感想であること。歌舞伎歴はそろそろ17年ほどの90年生まれ、贔屓は亡き十八代目中村勘三郎さん。
ボカロ文化には疎い。初音ミクと千本桜くらいは一応知ってる。演劇サークルの時に関わった舞台で「飴模様」を劇中で使った。
そんな私が深夜のテンションでお届けします。
正直、発表当時はほぼ期待していなかった。ごめんなさい。何事も見てみないとわからないもの。
たまたまリアタイできたのが千穐楽だったことも大きいかもしれない。
視聴前~視聴後の私↓
・ねーねーねー超歌舞伎リアタイできるっぽいんだけど!んぎゃあ!次15時??
・文字小さくするのとピンクの仕方がわかんない
・開演から今まで(口上)、オーソドックスな歌舞伎なのにこの異常な盛り上がりよ
・今初音ミクの口上の「隅から隅までずいーっとー」の後にちゃんと初音屋!って掛けた現地の大向こうさんいたねw
・國矢さんがコメですでに愛されてて私泣いてる
・本家の大向こうが掛かったあとに会場の人たちが真似して時間差で声掛かるの楽しいっていうかまじ現地楽しそう‼︎
・後半ずっと泣いてた 嬉しいなぁ嬉しい
・盛り上がる客席に手を合わせてじっとした獅童さんを見て号泣してしまった 勘三郎さんが喜ぶ あーよかったなぁ本当に なぜか涙が止まらない うううう
・ねえこれたまらんくない?私だけ?こんなに國矢さんが注目集めるのもたぶん超歌舞伎だけじゃん、泣いちゃう なんなんだもーー歌舞伎最高か
ニコ生に初めてコメント付けることに悪戦苦闘しながらこれだけ呟いている私のハイテンションぶり、おわかりだろうか。他の沼の住人に迷惑かなと思ってこれでも抑えた。
歌舞伎×現代
今回の舞台を観て一番に感じたのは「連鎖劇だ!!」ということ。
連鎖劇とは映像と舞台がリンクした演劇のこと。活動写真が広がり始めた大正時代盛んだった演劇の一つの形であり、それからさらに100年経った平成の世にパワーアップして帰ってきたという現実に乾杯。
今や3Dライブまで開くほど限りなく3次元に近い存在となった、年をとらない2次元スーパーアイドルと、有限の生身の身体を通してその芸が400年受け継がれてきた歌舞伎の役者が、画面と舞台で掛け合いをし、舞を披露する。2次元と3次元、無限と有限、ただのコラボ以上に胸が熱くなるコラボだったことは間違いない。
映像×演劇の部分だけでなく、ボカロ×歌舞伎音楽がうまくいっていたのも強い。
歌舞伎に限らず多くの伝統芸能は毎ステ生音生演奏。今回演奏は収録とはいえ、あの附け(走ったり見得を切る時の効果音)は生でなければ不可能だ。
※5/1午後追記→現地参戦組の方から、歌舞伎の音楽パートはほぼ生音だったとの情報をいただきました。なにそれ堪らないやつ。
なにより「千本桜」の曲がうまく邦楽器アレンジされ随所に使用されたことで、メインテーマが印象に残り、そこからのカーテンコールでの大爆発。あのアレンジは藤間宗家によるとのこと。美玖姫の動きのモーションキャプチャーも勘十郎さん、多才すぎてもはや恐怖。
歌舞伎がまだ古典でなかった頃は、その時代の流行歌を音楽に取り入れることも多かったという。現代の曲をただ長唄三味線でその音階で弾くのではなく、何種類もの邦楽器を用い、きちんと歌舞伎用の「千本桜」という一つの曲になっていたことに驚く。
※歌舞伎では2004年の俳優祭*4で勘三郎さん(当時勘九郎さん)総指揮の元、歌舞伎俳優豪華出演で連鎖劇に挑戦している。
【歌舞伎 俳優祭 第33回】連鎖劇 『奈落~歌舞伎座の怪人』 2 - YouTube
【歌舞伎 俳優祭 第33回】連鎖劇 『奈落~歌舞伎座の怪人』 3 - YouTube
ニコ動にもありますのでぜひ。超良作。
千本桜
歌舞伎の『義経千本桜』とボカロの『千本桜』を融合するにあたり「千本桜」という神木を登場させメインに据えたことがとても大きかったと思う。千本桜に奇跡が起こる場面、コメント欄がピンクの花で満開になった。前日こういう場面があると学んだ視聴者たちが続々と準備態勢に入った結果の花弾幕だった。花咲かじいさんが沢山いるんだからそりゃ満開にもなる。
歌舞伎は同じ演目を違う役者の組み合わせで演じることを繰り返してきた。ネタバレなんてとっっくの昔にされている。だから歌舞伎を好きになると、同じ演目を再び観ることはザラだし、そうなると「ここでこの役が出てくる」「あの見せ場が来る」とこちらもわかって観ることになる。だが、それがまた新しい興奮に繋がる。もちろん筋を知らなくても、他の客の空気で「今見せ場なのか」と感じ取れる。わかっていなくてもわかっていても盛り上がるのだ。
「同じ演目を何度も観て面白いのか」と時々聞かれるけど、こういうことなんだよおおおおお!!伝わったあああああ??????と画面の前でガッツポーズしてた。楽しい。
ところで大正百年パートが『サクラ大戦』みたいだったのも「桜」のテーマに掛けてるのかな?初音未來が超タイプだった話し出すと更に長くなるのでそちらは割愛。
カーテンコール
最近は新作歌舞伎の増加に伴い歌舞伎現場でも市民権を獲得しつつあるカーテンコールだが、基本的にどんなに熱演でも歌舞伎でカーテンコールは無い。でもこの盛り上がりでカテコ無かったら暴動起きそうだな、と思ってみていたらすぐ始まった。しかもカーテンコールという名の千本桜ライブ。
なるほどーと思った。歌舞伎の千本桜にも、ボカロの千本桜にも敬意を払い、ちゃんとミクの声入りの歌をフルで流す。ミクファンがピンクのサイリウムを「うぉい!!」と振って、獅童さんがもっと煽って、鱗四天と忠信の客席降りまであって、皆に愛された青龍こと國矢さんは毛先をタオル回ししたり、毛振りまでして。
会場の熱気で画面から湯気出てきそうだった。
それだけ皆の心を掴んで、最後まで死ぬ気で盛り上げた忠信姿の獅童さんを見ながら、私はもうボロボロ泣いてしまった。感動以上に、その光景が嬉しくて。
私が中村屋を好きになったきっかけは、『義経千本桜』の四の切の狐忠信を観たことだった。*5もふもふした狐が可愛くて。私にとって、狐忠信はそういう意味でとても大切な役。
その狐忠信が、あれから17年経って、こんな風にネットと現実の狭間の世界に出てくるなんて、誰が想像しただろう。しかも勘三郎さんが可愛がっていた獅童さんの手で。
本当に泣いた。
嬉し涙ってこんなにも熱いんだなぁ、と思いながら号泣した。
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獅童さんはスーパー歌舞伎(澤瀉屋)でもコクーン歌舞伎(中村屋)でも新感線歌舞伎(染五郎)でもなく、第四の新作歌舞伎の流れを作れる人なんだね
去年の『あらしのよるに』で感じていたことだけど、今日ので確信した
---(自分のメモ)
こういう時代をリアルタイムで生きられて、一歌舞伎ファンとしてとても幸せです。
私が歌舞伎を観始めた頃全盛期だった方たちが次々向こうに逝ってしまって、なにより勘三郎さんがいなくなってしまって、歌舞伎座に足を運べない日もあったけど、それでも歌舞伎ファンで良かったと思った。
関係者の皆様、お疲れ様でした。
勘三郎さん、お酒の席で俺ならああするこうするって言ってそうw
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何が嬉しいって、映像とコラボするのと、立ち回りにアクションの人たちが混ざってるくらいで、あとはほとんど歌舞伎の典型的な手法てんこ盛りだったことだよね
劇場で何百年ずっと続いてきた歌舞伎が無かったら成立してない
だから歌舞伎は面白い、超歌舞伎も面白い
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…実はもう一つ記事書いてるのでそちらは気長にお待ちください←
全然書ききれてない感想と、ここ歌舞伎だとこうだよねという見方を書き始めたら収集つかなくて\(^o^)/